オンデマンド印刷について知ろう!

同人誌の印刷方法には「オフセット印刷」と「オンデマンド印刷」の2種類があります。
この記事では、印刷方式の違いと「オンデマンド印刷」の特徴について紹介します。

目次

「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」の違い

「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」は印刷に「版」を使用しているかどうかの違いがあります。

「オンデマンド印刷」とは

オンデマンド印刷とは、印刷物を小部数印刷する場合に適している印刷方法で、オフセット印刷のような製版の工程がないため短期間での納期が可能です。

「オンデマンド(on demand)」は「要求があれば」という意味を持つフレーズです。
つまり、「オンデマンド印刷(Print on Demand)」は「必要な時に必要なものを必要な分だけ印刷する(要求があったときに印刷する)」という意味で、この考えを元に開発されたシステムとなります。

オンデマンド印刷はテストマーケティングにも使える!

オンデマンド印刷は、必要な部数だけを少量印刷できるので、テストマーケティングに最適です。
例えば、キャンペーンのチラシを作る場合、A、B、Cの3つのパターンのチラシを作り、顧客の反応を見ます。その中で一番反応の良かったチラシを、今度はオフセット印刷で大量に印刷する。
オンデマンド印刷は少部数のテスト印刷ができます。また、万一、失敗してもリスクは非常に少なくて済みます。
最終的に、テストマーケティングによって得ることができた反応率の高いデザインで本格的に印刷することができるので、リスクを抑えたマーケティングが可能となります。

「オフセット印刷」とは

オフセット印刷とは、印刷物を大部数印刷する場合に適している印刷方法です。
版に乗ったインキを「ブランケット」というローラーに転写(off)して、そこから紙に印刷(set)するので、「オフセット印刷」といいます。
大部数に対応しており、また、高解像度で細かいデザインや文字もきれいに印刷することができるので、書籍や商業印刷、美術印刷等、幅広く利用されている印刷方式です。

製版が必要なため、オンデマンド印刷と比べるとコストと時間(納期)が長くなり、少部数の印刷では割高になりますが、版が紙に直接触れない構造のため版の摩耗が起こりにくく、安定した品質で大量の印刷が可能です。また、大量に刷ることでコストを抑えることができます。

一般的に「オフセット印刷」というと「平版」を用いたオフセット印刷方式による印刷を指しますが、グラビア方式や凸版方式でもオフセット法が用いられることがあります。

  • 平版……油と水が反発する原理を利用し、平らな面にインキ(油)が付くところと付かないところを科学的に分離した版式。
  • グラビア方式……大部数かつ、あまり高級ではない用紙に写真を高速印刷する場合に適した印刷方式。
  • 凸版方式……複製したい部分を凸状にして凸部分にインキを付ける版を用いた印刷方式。

オンデマンド印刷の特徴

1部からでも印刷できる!

従来の印刷方式では一度に大量部数の印刷物を作る関係上、1,000部以上の大量印刷になってしまいます。 しかし、オンデマンド印刷は印刷用データをパソコンから直接オンデマンド印刷機に送り、粉体もしくは液体トナーで紙に印刷します。そのため、1部からの印刷にも対応可能です。
必要な部数しか印刷しないので無駄な在庫を抱えることもなく、使わなくなった印刷物を大量に破棄する必要もありません。

短納期が実現できる!

オンデマンド印刷はオフセット印刷のように「版」を作る工程が必要なく、デザインデータから直接印刷します。また、インクを乾燥させる必要もないため、非常に短い期間で納品できます。お急ぎの方にぴったりの印刷方式です。

環境に優しい印刷方式

オンデマンド印刷は環境にも優しい少部数印刷です。
必要な部数しか印刷しないので無駄な在庫を抱えることもなく、使わなくなった印刷物を大量に破棄する必要もありません。
現在、企業の社会的責任として環境に対する配慮が求められています。まさにオンデマンド印刷は環境に優しい印刷方式として、非常に注目を集めています。

オンデマンド印刷が登場した頃は低精度や出力速度の遅さ等の問題がありましたが、印刷技術の発達により改善されたことで、現在のオンデマンド印刷では一般的な商業印刷と同等の品質が実現しています。

また、従来のオンデマンド印刷は印刷表面にテカリがありましたが、最近は表面のテカリが抑えられた、オフセット印刷機と遜色ない自然な仕上がりのオンデマンド印刷機も登場しています。

オンデマンド印刷の注意点

オンデマンド印刷には下記のような特徴もあります。
納期やコストといったメリットと合わせて注意点も確認した上で検討しましょう。

オンデマンド印刷は4色カラー印刷(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)のため、特色は印刷できません。

オンデマンド印刷機の性質上、薄いグレー、鮮やかなピンク、赤、朱色、単調なグラデーション等は表現出来ない場合があります。

オンデマンド印刷機の性質上、広範囲のグラデーションなどがある場合、印刷時ムラ(トーンジャンプ)が起こる可能性があります。

オンデマンド印刷はその性質上、気候や印刷機のコンディションによって、同じデータを同じ印刷機で印刷しても色味が多少変わる可能性があります。そのため「色校正」ができません。

オンデマンド印刷はインクを染み込ませるオフセット印刷と異なり、トナーが紙の上にのっている状態となります。
そのため、折り曲げ等に弱く、黒のようなインクが濃くのっている印刷物では、製本時に背表紙付近や断裁面(冊子の上下・小口)のインクが剥がれやすい特徴があります。

インクジェットプリンタとオンデマンド印刷では、印刷方式の違いからインクの発色が異なります。
そのため、自宅のインクジェットプリンタで事前に色確認をしている場合は注意が必要です。

  • トナー剥がれが気になる場合はPP加工で防ぐことができるので、デザインによっては検討してみてください。
  • オンデマンド印刷の場合、実際のデータに対して忠実な色再現が行われます。
  • インクジェットは実際のデータより明るく鮮やかに印刷する傾向があります。

オンデマンド印刷機の構造について

オンデマンド印刷機は高性能なレーザープリンターで、現在は「トナー式」が主流です。

レーザープリンターとは
粒状のインク(トナー)を「ドラム」と呼ばれる筒状の感光体に静電気を利用して付着させ、感光体に付着したトナーを紙に転写し、熱と圧力でトナーを紙に定着させて印刷する印刷機です。

トナーとは
ミクロサイズの粒状のインクで、静電気と熱で紙に定着させて印刷します。
オンデマンド印刷機(レーザープリンタ)や、オフィスで使われる業務用複合機やコピー機で使用されています。

静電気を利用して印刷されるため、届いた本が静電気でページが捲りにくくなっている場合がありますが、何度かページを捲ったり開いたりしているうちに放電されます。
これはオンデマンド印刷の特性です。隣のページのトナー同士がくっついているわけではなく、品質に問題はありませんのでご安心ください。

さいごに

今回は、オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いや、オンデマンド印刷の特徴について紹介しました。
オンデマンド印刷にするべきか、オフセット印刷で印刷するべきなのか、迷ったときはこの記事を参考にしてみてください。

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